アメリカ永住権を求める人間ドラマ

アメリカとメキシコ国境 その1

映画の中で、メキシコとアメリカ国境付近でミレヤの遺体が見つかります。アメリカとメキシコの国境は、4つのアメリカ合衆国の州と、メキシコ川は6つの州に接しています。

20以上の横断道路があります。アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴ~メキシコバハカリフォルニア州ティファナの接する西から、アメリカ合衆国テキサス州ブラウンズビル~メキシコタマウリパス州マタモロスが接する東まで伸びています。

都会のエリアもあれば、荒れ果てた砂漠までとさまざまな地形を横切っています。東はテキサス州エルパソとメキシコチワワ州シウダー・フアレスの両国の大都市圏の境界を成していて、メキシコ湾に流れるリオグランデ川に沿っています。その他にもソノラ砂漠、チワワ砂漠、コロラド川デルタ、バハカリフォルニア半島の北端も横切っています。

境界の全長は1,951マイル (3,141km)です。世界で最も頻繁に横断される国境になっていて、毎年のべ3億5000万人が(合法的に)横断しています。

国境の歴史

リオグランデ川の流れ自体が変化したことによって境界の論争(リオ・リコなど)は、ごく少数の地域で20世紀に入ってもありました。

そうはいっても、現在の国境は1848年のグアダルーペ・イダルゴ条約と1853年のガズデン購入で決着がつきました。メキシコと1836年に建国されたテキサス共和国の両国が主張した国境周辺には、その当時は誰も居住していませんでしたが、だれも住んでいないというあやふやな部分もあって1846年から1848年の米墨戦争(べいぼく戦争アメリカVSメキシコ)の契機となりました。

その前の合意には、メキシコ独立戦争の間にアメリカ合衆国とスペイン(ヌエバ・エスパーニャ)で結ばれた1819年のアダムズ=オニス条約があります。1803年のルイジアナ購入後の境界を定義しました。

不法入国者

アメリカ=メキシコ国境は、合法的にまた非合法も合わせると、世界で最も多い数の横断が行われています。アメリカ=メキシコの距離的な近さと、境界の両側での生活水準の違いはメキシコからアメリカへと移住を促進しています。毎年100万人以上の不法入国者がいるとアメリカ合衆国では見られていますが、その8割はメキシコ人です。その残りは中米からの人々で、メキシコ人以外(Other Than Mexicans, OTM)と呼ばれています。

カリフォルニア大学デービス校の移民の専門家によると、アメリカの農業人口の45%は不法移民だといわれています。国境巡視隊の活動は、広い範囲でフェンス越えが実行されているサンディエゴとエルパソなど、国境の大都市周辺に集中しています。この大都市圏への監視の集中によって、不法移民は田舎の山岳地帯や砂漠地帯からアメリカへの入国を試みるようになりました。これによって多くの死亡者を生むことになりました。

国境近くには標識も建てられています。標識にはスペイン語で「注意!あなたの命を自然の脅威に晒さないで。そのような危険を冒す価値はありません! (この先)飲料水なし」と書かれています。

警備の問題

アメリカ=メキシコ国境の境界のほぼ全域では、アメリカ連邦政府の様々な巡視員が警備しています。1990年代は、アメリカ合衆国陸軍の人員が、アメリカ=メキシコ国境沿いに配備されました。そして不法な外国人と麻薬密業者の流入を食い止めていました。

これらの軍隊は赤外線監視装置やヘリコプターを駆使しながら、国境警備隊と共同で警備にあたっていました。不法入国者の密輸組織の「コヨーテ」が使用していたところは往来がなくなり、一時的ではありますが密輸業者と不法入国者は一掃することになりました。

しかし、効果的に思われたこの警備ですが、アメリカ陸軍が撤収すると、またすぐに不法入国が再開され始めました。2001年の9.11テロの後に、アメリカではは警備策として国境に兵士を配備しています。このときは、赤外線スコープを搭載したわずか100機のヘリコプターと良好な装備を持った数百名の兵士で国境を封鎖できるという意見がありました。

しかし反対者は、軍が国境を巡回することは、Posse Comitatus Act (国内において、憲法及び法律の定めがある場合を除き、軍隊(陸軍及び空軍)の治安活動を禁止した法律。もともとレコンストラクションの後の1878年に制定された法律で、1956年に空軍が加えられた)に違反すると主張しました。現実的には、国境を完全に封鎖することは不可能なので、さらにしっかりと人数を増やした強大な軍が投入することで、不法入国に恐らく深刻な影響を与えるだろうと考えました。

アメリカの各州には、州兵(National Guard)組織を持っています。州兵は原則として、州知事の判断で国境の警備のために配置することが可能になっています。また、一部の州は緊急時には州防衛軍(State Defense Force)という名称の警備隊を動かすことができます。しかし実際の所、ほとんどの知事は地域の企業と、大きくなっていくメキシコ人コミュニティの反発を恐れることもあって実行することはしませんでした。

アリゾナ州とニューメキシコ州は、もはや制御することができなくなるほどの不法移民が流入したことによって、深刻な状態にある郡を公表しました。その結果、アリゾナ州とニューメキシコ州の事は州兵を国境に配置することができました。しかし、アリゾナ州の共和党上院議員、ジョン・マケインは、施行によって不法移住を軽減しようとしているいくつかの法案に反対して、合法化(多くは恩赦)を勝ち取る法案を上院で提案しました。

2006年5月には、第43代アメリカ大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュは、最大6,000名の州兵が、国境警備隊を支援するための施設を境界に設置する計画を発表しました。この計画に反対したのは、カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーでした。当初はカリフォルニア州=バハカリフォルニア州の境界に3,000名の州兵を配置するブッシュの要求をカリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーは拒絶しましたが、後になってシュワルツェネッガーは州予算の償還の再保証と、必要な時の部隊の返却を条件にして、1,600名以上のカリフォルニア州兵を国境に配置することになりました。

2013年6月24日に、アメリカ上院は移民制度改革法案を承認して、27日に可決しました。この法案の中には、アメリカ=メキシコ国境の警備の強化案が含まれていて、国境警備隊2万人の増員と国境フェンスの増強、無人航空機やレーダー、センサーに数十億ドルを投入するなど、国境警備の軍事的な面を強化するものになりました。ただし、この警備の強化には、『移民に寛容であるべき』とする国民からは反対意見が根強くあります。またこの法案には、アメリカ国内に存在する不法滞在者に市民権を与える内容も含まれていることもあって、移民反対派にも反対する人は多くみられます。そのためにこの法案は、下院では審議されない可能性も指摘されています。